インプラントブリッジとは

歯を失ってしまったときの治療法としてのインプラント治療には、単独でインプラントを埋める場合と、インプラントを支えとするブリッジを入れるケースがあります。この治療法はインプラントブリッジともいわれますが、専門用語では「ボーンアンカードブリッジ(Bone Anchored Bridge)」といいます。どんな仕組みなのか、またどのようなときに用いられる治療方法なのでしょうか。

インプラントとインプラントブリッジ

通常のブリッジは、歯が欠損した箇所の両隣の歯を支えにして人工歯を設置する治療法ですので、手順として失われた歯の両隣の天然歯を削り、さらに歯の根の治療を施し、支台を作り、人工歯と連結した被せ物を接着していきます。主にブリッジ治療は歯を1~2本失った場合に用いられますが、3本以上の欠損箇所となると、支えとなる両隣の歯への負担が大きくなってしまうため、治療は困難です。

そこで3本以上連続して歯を失った箇所を、全てインプラントにしたくないという場合には、インプラントブリッジを利用するケースが生じます。この治療が選ばれる局面はケースバイケースで、3本欠損した歯を3本ともインプラントにすることがけして最善策ではありません。

指導医のつぶやき

インプラントの性能も向上しています。たとえば、3本の欠損に対して必ずしもインプラントを3本入れるわけではなく、2本で済む箇所ならば2本で良い、とする考え方は現在当たり前になっています。また仮に、狭い箇所に窮屈な状態で3本インプラントを入れてしまうと、術後に骨が下がってしまう症状が起きかねません。インプラントとインプラントの間には、最低3mm程度の余裕があることが望ましいです。

方法としては、3本欠損に対してであれば、失った歯の両端にインプラントを埋め込み、人工歯冠(ポンティック)を中央に置いて橋渡しをすることになります。

一般的なブリッジでは、健康な状態の天然歯を削って支えに利用することになりますが、インプラントブリッジでは、自分の歯をわざわざ削るということは、そもそも生じません。さらに、欠損した歯を全てをインプラントにしないことで、手術にともなう患者さんの負担を減らせることはメリットといえるでしょう。これには、もちろん経済的な負担という意味合いも含まれます。

All-on-4(オールオンフォー)というインプラント

このインプラントブリッジ、つまりボーンアンカードブリッジのひとつにAll-on-4(オールオンフォー)というインプラント治療があります。上顎下顎いずれかの歯がない状態の方に適用されます。従来は1本の歯冠につき1本のインプラント体を埋め込んでいましたが、All-on-4という治療方法では、上下片方の顎に4本のインプラントを入れて、歯列全体を支える方法です。

なるべく顎の骨量が豊富な部位を選んでインプラント体を斜めに埋入させ、インプラントに掛かる負担を安定的に配分させる理論に基づいており、これによりインプラントが4本だけでも全体の歯列を支えることが可能になります。

All-on-4のメリットと問題点

無歯顎に近いような方でも、治療したその日のうちにインプラント埋入および噛み合わせを作り上げ、仮歯を装着させることが出来ます。これを専門用語で、即時荷重または即時負荷といいます。

  • 短期間で治療可能
  • 費用を抑えられる

All-on-4は最少の本数で安定した補綴物を設けることが出来るのですから、最大のメリットはコストの安さになるでしょう。それは同時に、相応の日数を経て用意される他のインプラント治療と比較すれば、心配な点が残るということになります。例えば、もし将来的にAll-on-4のインプラント4本のうちどれか1本に不具合が起きてしまったとしても、上部構造を支えられなくなり再治療など深刻な事態を招くことになってしまいます。特に、インプラント周囲炎には最大限の配慮をしていただき、精度の高いメインテナンスが求められます。

インプラントブリッジの懸念点

インプラントブリッジの支えとなる箇所は、インプラントのみを用いることがほとんどで、インプラントと天然歯を連結させることは近年なくなりつつあります。仮に間に天然歯があってその歯がグラグラしているようならば、抜歯した上で構造を設計しなければなりませんし、インプラントと天然歯を連結させるような症例は、ここ数年の学会でも見受けられません。それには次のような明確な理由があります。

健康な天然歯でも揺れている

生来の歯槽骨や歯肉に守られている天然歯は、歯根膜といわれるショックアブソーバーがあるため健康な状態でも若干の揺れがあるものです。対してインプラントにおいては動くことは禁物です。天然歯とインプラントでは、それぞれの構造や機能が全く異なるため、連結させること自体に無理が生じるのです。連結させることで、仮に天然歯の方に負担が集中することがあれば歯が割れたり折れたりするリスクが生まれるのです。

近年、インプラントの上部構造はネジ止め式になりつつある

インプラントの歯冠部分を上部構造といいますが、この上部構造を従来のようなセメント固定にせず、ネジ止め式にして取り外し出来るようにするタイプが、近年のインプラントの主流となっています。

基本的なインプラントの構造

インプラントの上部構造には寿命があり概ね15年程度といわれており、インプラントに限らず補綴物の平均寿命は約7年間という研究結果もあるほどです。セメント固定されたインプラントは、作り直しの際に柱まで壊す必要が生じますので、ダメになった部分のみ交換出来るようしておく方が合理的であるのはいうまでもありません。こうした部品ごとの対応はインプラントだから可能なのであり、ましてや天然歯をネジ止めすることは出来ませんので、双方の歯冠を連結させることは適切ではないのです。

インプラントブリッジの歯周病リスク

インプラントブリッジにした箇所は構造上、歯磨きしにくく、日々のケアには天然歯のとき以上に気を付けなければなりません。歯周病リスクが高いことは想定しておかなければならないでしょう。インプラント周囲炎や抜けてしまうのを予防するためにも、歯科医院で定期メインテナンスを受けるよう心掛けてください。