「就寝時の入れ歯は外した方がよいのか、それとも装着したままでよいのか?」これは入れ歯を使用されている患者さんから、歯科医院でよく受ける質問の一つです。実はこの問いには、すべての方に共通する一つの答えがあるわけではありません。入れ歯の種類や大きさ、お口の状態、生活習慣などによって適切な対応は異なるためです。
したがって答えは ケースバイケース となります。
ここでは、その理由について分かりやすく説明します。
入れ歯は「1日2〜3時間外す」が基本
結論から申し上げると、
✔ 1日のどこかで2〜3時間は入れ歯を外す(粘膜の休息)
✔ 清掃を十分に行うことが重要
✔ 就寝時は装着しても外してもよい(条件による)
つまり、「必ず外すべき」というわけではありません。
ただし、お口の状態や入れ歯の種類によって判断が必要になります。
1日2〜3時間、粘膜の休息時間をとることが大切
入れ歯は歯ぐきの粘膜の上に乗る装置です。一日中装着していると、歯ぐきの粘膜に持続的な圧力がかかり、炎症や痛み、粘膜の傷の原因になることがあります。そのため、1日のどこかで入れ歯を外し、粘膜を休ませる時間をとることが大切です。目安としては1日2〜3時間程度入れ歯を外す時間を作るとよいでしょう。
災害時の教訓から変わった指導
以前は、「入れ歯は寝るとき外す」と指導されることが多くありました。しかし阪神・淡路大震災では、入れ歯を外して寝ていた方が入れ歯を持たずに避難してしまうケースが多くありました。
避難所で配給される非常食は、乾パンや固形食品など硬いものも多く、入れ歯がないために食事に大変苦労された方がいたと報告されています。この経験を教訓に、1日のどこかで粘膜休息時間が取れていれば就寝時は装着したままでもよいという考え方が現在では広く取り入れられています。
就寝時に装着する場合の注意点
就寝時に入れ歯を装着する場合、最も重要なのは入れ歯とお口の清掃です。入れ歯にはデンチャープラーク(細菌のかたまり)が付着します。

これを十分に清掃しないまま使用していると睡眠中に細菌が誤って肺に入り込み誤嚥性肺炎の原因になることがあります。誤嚥性肺炎は特に高齢の方で多く、口腔内の清掃状態が大きく関係するといわれています。そのため、✔ 就寝前と✔ 起床時には、✔ 入れ歯の清掃と✔ 残っている歯の歯磨きを必ず行いましょう。
こんな人は入れ歯を外して寝る方がよい
次のような場合は 外して就寝することが勧められます
✔ 小さな部分入れ歯(誤って飲み込む危険がある)
✔ 入れ歯がゆるい(外れやすい)
✔ 粘膜に炎症や痛みがある
✔ 入れ歯による傷ができている
✔ 歯科医師から外すよう指示されている
このような場合は、外して保管する方が安全です。
こんな人は装着したまま寝てもよい
次のような方は 装着して就寝する場合もあります
✔ 総入れ歯の方
✔ 入れ歯がしっかり安定している
✔ 無意識に粘膜を噛んでしまう癖がある
✔ 歯科医師から装着を勧められている
ただしこの場合でも
必ず清掃を行うことが大前提です。
お口に合った入れ歯を作ることが最も重要
そもそもお口に合っていない入れ歯では、快適な生活は送れません。入れ歯安定剤に頼らないと機能しない状態では
・食事
・会話
・生活
に大きな支障が出てしまいます。
現在では自費治療になりますが
・精密義歯
・磁石義歯
・コーヌスデンチャー
・金属バネの見えない部分入れ歯
などさまざまな治療方法が選択できます。
さまざま入れ歯の例








入れ歯でお困りの方は、かかりつけの歯科医師に相談されることをおすすめします。




