歯の漂白は安全か? 

歯の漂白は、すでに欧米では広く普及しており日常的に行われています。その安全性は認められており心配はいりません。安心安全に歯の漂白を行うためには、歯科医師の指導のもと適切な薬剤を正しく使用するなど、歯科医師の管理下で治療が進められることが前提といえます。用法を誤ると、歯や歯肉に悪影響を及ぼす場合がありますので必ず歯科医師と相談の上で行ってください。

サロンと歯科医院のホワイトニング比較

歯科医院で行うオフィスホワイトニングは、歯科医師による問診や診断のもとで行う「医療行為」です。国内で認可された医療機器を使用し、過酸化水素などの薬剤をレーザーや光で活性化させ、歯の内部からしっかりと漂白していきます。そのため、短期間で高い効果が得られるのが特徴です。

一方、ホワイトニングサロンで行われるホワイトニングは、「美容サービス」にあたり、薬剤の濃度が低く抑えられているため、効果はマイルドで、歯を白くするというよりも「歯の着色汚れを落とす」「トーンアップする」といった範囲にとどまります。

また、市販のホワイトニンググッズは、比較的安価で手軽に始められるのがメリットです。ただし、薬剤成分の濃度が低く設定されているため、劇的な効果は得られにくく、既製のマウストレーを使用する場合は使用者の歯列に合わず、効果が限定的になりやすいのが実情です。

一方、歯科医院で処方されるホームブリーチングのセットは、歯科医師の診断のもとで適切な薬剤を処方し、患者さんごとの歯型に合わせて作製した専用マウストレーを使用します。そのため薬剤が歯面に均一に行き渡り、効果が高く、安全性も担保されます。

ホームブリーチングのセット(村井歯科医院 京都四条烏丸)

神経を取った歯も白く出来る? ウォーキングブリーチングとは

神経を取り除いた歯が変色しているケースは、「ウォーキングブリーチング」という方法で漂白することが昔から知られています。

STEP
歯の内部に小さな穴をあける
STEP
漂白剤を内部に入れる。
STEP
変色が取れてきたら、最終的な封鎖材で詰め直す

この方法は、歯の神経が納められていた歯髄腔(しずいくう)という歯の内側に存在する部屋に、 30%の過酸化水素水(かさんかすいそすい)と過ホウ酸ナトリウムを混和したペーストを入れて歯の内面から漂白するという方法です。しかし、神経を取った歯の漂白は残念ながらあまり効果があがらないのが実情で、歯の強度を保つという観点からオールセラミックスクラウンなどを用いた治療法の方がより確実に効果があると言えます。

オフィスブリーチングとホームブリーチング

次に、歯の神経が残っている歯を美しく漂白する方法は、いわゆるホワイトニングですが、これについては「オフィスブリーチング」と「ホームブリーチング」と、上記2種類のブリーチング法を併用した3種類の漂白方法があります。
いずれの漂白方法も医療保険適用での診療は認められていません。

オフィスブリーチングとは、歯科医院で行う歯の漂白で、過酸化水素などの薬剤を用いてレーザー、高周波、可視光を用いて歯の表面から強制的に歯を美しく漂白する方法です。限界がありますが、 現在色々な触媒を使用し歯を傷めず短時間で痛みも少なく漂白できるようになりました。この方法では、歯は確かに早く白くなるのですが、 少し歯の透明感が薄れてしまうことがありますので担当の歯科医師に説明をお受けになってください。

ホームブリーチングは、自宅で行う歯の漂白です。歯科医院で歯の型を取って、 マウスピースのような型をした漂白薬剤を入れるためのトレーをつくります。そのトレーに漂白剤であるペーストを入れて、トレーごとマウスピースのように歯列にはめ込んで使用してもらうという方法です。 一日数時間実施することで、2週間程度続けると歯が白くなるというものです。時間はかかるのですが、最新の医療認可を受けたものでは、歯の色も自然な感じで白くなるので評判はいいようです。

短期間で歯を白くしたいビジネスマンに人気のオフィスブリーチング

美しい口元と健康の関係

歯の漂白は個人差が強く、比較的に容易に白くなる方もおられれば、 なかなか白くならない方もおられます。 また、 生きている歯ですから、永遠に白いままではなく時間の経過と共に徐々に後戻りすることもあると考えてください。 ご自身の歯質の状態や変色の度合いなどを踏まえた上で費用も含めて担当の歯科医師にご相談されるといいでしょう。

一度美しい口元を手に入れると自ずと口元に関心を持つようになりますから、お口から派生する全身の健康にも良い影響を与えることになります。白い歯というのは、表情も豊かにし口元の美しさで人に与える印象はずいぶん変わります。そういう意味では、白い歯の健康的な口元を手に入れることは、とても大切なことです。

この記事は専門医師により監修されています
歯科医村井健二のプロフィール

公益社団法人日本口腔インプラント学会 指導医・専門医・代議員・広報委員​
九州大学病院歯科医師臨床研修管理委員会委員・協力型施設施設長・指導医
公益社団法人日本補綴歯科学会 専門医
特定非営利活動法人近未来オステオインプラント学会指導医・監事
京セラインプラント公認インストラクター
高度総合歯科医療研究会 会長
臨床歯科インフォームドコンセント推進協議会 会長
一般社団法人京都府歯科医師会立京都歯科医療技術専門学校 元副学校長
公益社団法人日本口腔インプラント学会 第34回近畿北陸支部学術大会(平成27年開催) 実行委員長